Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ふうせんむし
風船虫
小川 未明
Read 風船虫 (ふうせんむし) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 1,983 characters · 4 screens
年ちゃんは、考えていました。
「おじさんのお家は、町の中にあるんだろう。子供たちは、どこで遊ぶの?」
「やはり、往来で遊んでいますよ。」
「おもしろい虫を今度捕らえてきてあげようか?」
「虫ですか? きりぎりすですか。」
「おじさんの知らない虫だよ」
「はて、なんという虫ですか?」
「風船虫というのだ。」
「ああ、風船虫なら知っていますよ。」と、おじさんは、笑いました。
「町の中にも、風船虫がいるの?」と、年ちゃんは、びっくりしました。
「私の家の近所に呉服屋さんがありましてね。毎夜ショーウインドーに燈火をつけますが、燈火の下へコップに水を入れておくと、風船虫が飛んできて入りましてね、紙片を上げたり、下げたりして、ひとりでに窓飾りになりますよ。そして、夜が明けると、どこへか飛んでいってしまいます。」と、おじさんは答えました。
「ふうん。」と、年ちゃんは、感歎したのでした。
いまさら、この自然の大きいということが、そして、小さな虫が、自由に、気ままに生活しているということが、なんとなく不思議に考えられたので、年ちゃんは、思わず、青い、青い、空を見上げたのでした。
昨日、水たまりに姿を映した白い雲が、今日は、あちらの高い木の上を飛んでいました。