Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しゃべりすぎる
饒舌りすぎる
山本 周五郎
Read 饒舌りすぎる (しゃべりすぎる) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 27,957 characters · 55 screens
「十二のとしだったそうだ」
「おい、少しはなれろ」十太夫は顔をしかめながら身を反らした、「きさま、――不潔なやつだな、冗談じゃない、十二やそこいらで、ちえっ、いやなやつだな、どの小間使だ、こそのとかいったあのちびか」
土田正三郎は首を振って否定した。
「でないとすると太っちょのほうか」
「おれは知らないんだ」
「そんなことを教えられたのにか」
「少しおれに話させてくれ」
「土田は饒舌り過ぎる」
「おれではないんだ」と土田が云った、「おれはおまえと同様、なにも知らなかった、知っていたのはしのぶのほうで、聞いてみると十二のとしに、小間使から教えられた、と云うんだ」
十太夫は反らせた躯を元へ戻し、土田を眼の隅で睨みつけながら酒を啜った。土田正三郎は済まなそうな顔で、だがなにも云わずに手酌で飲んだ。
「それなら、なにをそんなに気に病んでいるんだ」と十太夫が問いかけた、「女房と喧嘩でもしたのか」
土田正三郎は「なんにも」と云って、片方の肩をまたむずっと動かした。
土田正三郎には不愉快なことも、気に病むこともなかった。実際は小野十太夫こそ、そのとき大きな心配があり、気分がおちつかず、いらいらしていたのである。