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くびちょうだい
首頂戴
国枝 史郎
Read 首頂戴 (くびちょうだい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,756 characters · 20 screens
「正しく左様、一つには! ……が、同時にもう一つ、拙者の心境を御貴殿へ、お知らせ到そうと存じましてな」
「成程」
といったが伊賀之助、次第々々に苦しくなった。顔は蒼白、血は流れる。「成程……貴殿は……荊軻の身の上! ……が、今度は拙者より申そう、その或お方は無雙の人物、失敗致そう、貴殿の計画!」
だが乞食は悠然と「運は天にござります。ただ人力を尽したく……」
「立派なお心」と伊賀之助、首をグーッと突き出した。「ご用に立たば首進上! 死花が咲きます! いっそ光栄!」
その時であった、戸外から、
「赤川大膳、捕った捕った!」
捕方の声が聞えて来た。
「未熟者めが」と伊賀之助、嘲りの色を浮かべたが
「とうとう死恥を晒しおる! それに反して俺は立派だ! 義士の介錯受けて死ぬ。死後なお首が役に立つ! ……いざ首討たれい!」
と引き廻わした。
「ご免」
というと奇怪な乞食、仕込んだ太刀を引き抜いた。ピカリと一閃、スポリと一刀、ゴロリと落ちたは首である。
「伊賀之助、御用!」
と捕方の声々、間間近く迫ったが、奇怪な乞食驚かなかった。
死骸の形を綺麗に整え、傍の屏風を引き廻すと、伊賀之助の首級を抱きかかえた。