Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
がいこつのくろんぼ
骸骨の黒穂
夢野 久作
Read 骸骨の黒穂 (がいこつのくろんぼ) by 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 14,160 characters · 28 screens
同じ曳出の中に在った鋭いらしい匕首も中身を検めてから懐中へ呑んだ。やはり押入の向側から鉋飴売りの足高盥を取出しかけたが又、押入の中へ投込んだ。
それから銀次は上り口に飯櫃を抱え出して、残りの飯と、店に残った皿のもので、湯漬飯を腹一パイガツガツと掻き込むと、仏が生前に帳場で使っていた木綿縞の古座布団を一つ入口の潜戸の前に投出した。ラムプを吹消して、手探りで草鞋を穿いて、地面へジカに置いた座布団の上にドッカリと坐って、潜り戸に凭りかかりながら腕を組んで眼を閉じた。
月の光りを夜明けと間違えたのであろう。どこか遠くで鶏の羽ばたきと、時を告げる声が聞こえた。
3
それから一時間ばかり経ったと思う頃、潜戸の外で微かに人の気はいがした。
シンシンシンシンシンという軽い、小さい鋸の音が忍びやかに聞こえて、銀次の襟首へ煙のように細かい鋸屑が流れ込んだ。最前の小女が凭りかかっていた処へ横一寸、縦二寸ばかりの四角い穴がポックリと切開かれた。そこから西に傾いた月の光りが白々とさし込んだ。
銀次は潜り戸からすこし離れて坐ったまま一心にその様子を見ていた。
やがてその穴から白い小さい手が横になってスウッと這入って来た……と思うと何かに驚いたようにツルリと引込んだ。