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たかいきとこどものはなし
高い木と子供の話
小川 未明
Read 高い木と子供の話 (たかいきとこどものはなし) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,979 characters · 10 screens
」と、太陽は、円い顔で、あきれるように、口を開けていいました。
「その枝は、あぶない。その下の枝に足をかけて、この枝にしっかりつかまっていればだいじょうぶだから。」と、風は、しんせつに、善吉に注意してくれました。
彼は、いつまでも、こうして、ここで、広々とした景色をながめて、空想にふけっていたかった。脊中に子供をおぶわされては、飛びまわることもできず、暗くなるまで子守をするのは、いやであった。それをいやといえば、母親にしかられる。「どこかへやってしまうぞ。おまえは、ほんとうは、家の子でない、捨ててあったのをかわいそうに思って、拾ってきて育てたのだ。」いつもこんなにいわれる。はたして、自分は、捨て子だったろうか。ほんとうのお母さんは、ほかにいるのだろうか? 木の上で、彼はいろんな空想にふける。
☆石竹色の雲が、鏡のような北の空に、あらわれたかと思うと、それが天使の舞っている姿となり、やがて、小さくなって、鳥のようになり、そして、消えてしまった。
「お母さん!」
善吉は、目に、いっぱい涙をためて、ほんとうのお母さんを呼んだのでした。いつも、高い木に登って、遠く見るたびに、ほんとうのやさしいお母さんが、どこか、美しい町に住んでいて、やはり、自分のことを思っているような気がしたのであります。