Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぎょげんき
魚玄機
Read 魚玄機 (ぎょげんき) by Mori Ōgai (森 鴎外) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 9,866 characters · 20 screens
初夜を過ぎて陳は辞し去った。これからは陳は姓名を通ぜずに玄機の書斎に入ることになり、玄機は陳を迎える度に客を謝することになった。
――――――――――――――――――――
陳の玄機を訪うことが頻なので、客は多く卻けられるようになった。書を索めるものは、ただ金を贈って書を得るだけで、満足しなくてはならぬことになったのである。
一月ばかり後に、玄機は僮僕に暇を遣って、老婢一人を使うことにした。この醜悪な、いつも不機嫌な媼はほとんど人に物を言うこともないので、観内の状況は世間に知られることが少く、玄機と陳とは余り人に煩聒せられずにいることが出来た。
陳は時々旅行することがある。玄機はそう云う時にも客を迎えずに、籠居して多く詩を作り、それを温に送って政を乞うた。温はこの詩を受けて読む毎に、語中に閨人の柔情が漸く多く、道家の逸思がほとんど無いのを見て、訝しげに首を傾けた。玄機が李の妾になって、幾もなく李と別れ、咸宜観に入って女道士になった顛末は、悉く李の口から温の耳に入っていたのである。
――――――――――――――――――――
七年程の月日が無事に立った。