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かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ
魯山人書論
北大路 魯山人
Read 魯山人書論 (かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 84,639 characters · 175 screens
ここまで低級になると、もはや論外で滑稽に終る。これを蒐めるのは銀座の夜店では集まらない場末の屑屋だ。
さて種々深重に差引き勘定して、何人の書を一番となすかといえば、先ず漱石を飛び離れて優れたものと成さねばならぬ。第一稽古離れしている。確かに天才を持っている。一葉女史も座中優れたものではあるが、その雅趣に欠くるところと伝統的作意に囚われたる点において、漱石の風上に立つわけには行かぬ。次に有島氏である。内容において有島氏は決して漱石に劣る底のものではないが、如何せん技巧において漱石に一歩も二歩も譲らなければならない立場にある。完全に稽古離れしてはいない。要するに未熟な点が彼を表わす能率に不十分を物語っている。しかし、少しでも賤しさを持たぬ点は、さすが有島氏である。抱月には純なものがある。そうして才がある。俗気なしというわけにはいかないが先ず無難である。しかし、人物は大きくない。かれこれ観ていられる子規。さほどにない樗牛。小心正直な国木田。他愛のない啄木。これまた持ち物の悪い魯庵。一寸魅力のある芥川氏。評判ほどでない森鴎外氏はどうもつまらない書だ。まあ一葉、漱石、有島、芥川、辛うじて子規を人物として取るのだが、いずれにしても、さて崇敬措く能わざるというわけにはいかぬ。