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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Read 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) by 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 127,675 characters · 254 screens
然乍御手紙参候ごとに一寸御返事に困るやうなるは、即ち真直に遠慮なく所信を述べて申越され候為にして、外に類なきことと敬服いたし候事に候。小供も次第に多くなりし為、文事にいとまなきよし承候。これも又似たることにていかなる境界にありても平気にて、出来る丈の事は決して廃せず、一日は一日丈進み行くやう心掛くるときは、心も穏になり申者に候。小生なども其積にて、日々勉学いたし候事に候。物書くこともあながち多く書くがよろしきには無之、読む方を廃せざる限は休居候ても憂ふるに足らずと存じ候。歳暮御忙しき事と御察し申上候。当地は二三日代りに乍寒乍暖、まだ小寒なるに梅など処々開居候。
十二月二十九日雨夜林太郎
きみ子様
文中に見えています小金井の母は、長岡藩の名流の長女に生れたので、小林虎三郎氏の妹でした。子供が非常に多く、世の変遷のために、幾多の難儀をなさいました。次男に生れた主人などは、小さい時に同藩の家へ養子に遣られ、その養父に附いて上京したのですが、大学南校へ通う内に、頼りにしたその養父に死別れましたので、他家の食客にもなり、母の弟の助力で医学に志して、明治五年の暮に第一大区医学校へ入学しました。