Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
つるのふえ
鶴の笛
林 芙美子
Read 鶴の笛 (つるのふえ) by 林 芙美子 (はやしふみこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,087 characters · 7 screens
そおっと笛の音のする方へ歩いてゆきますと、足の悪い鶴が横笛を吹いていました。
「おやおや、あなたが笛を吹いていたのですか。」
お嫁さんの鶴がたずねました。
足の悪い鶴ははずかしそうにふりかえって、
「さっきね、何かないかと思って沼のなかを探していたのさ。そしたら、カチンと固いものがくちにさわったので、あわててくわえたらこの笛だったのよ。何だろうと思ってね、いろんな風にくわえていたら、ふっと竹の小さい穴からきれいな音がしたのさ、もう、おなかのすいたのも忘れて、これを吹いていたのさ‥‥。」
「まア、そうでしたの、とてもきれいな音色でびっくりしました。何だか、昔のたのしいころのことがうかんで来て、とても気持がよくなりましたわ。」
笛の音色があまりきれいなので、おなかのすいた二羽の鶴はいままで食べることばかり考えて、いつもくよくよしていたことが馬鹿々々しくなりました。
自分たちを置いて勝手に飛んでいってしまったたくさんの鶴たちを恨んで、ふたりは毎日ぐちばかりいっていましたけれど、笛をひろってからは、笛の音色があんまりきれいなので、二人はとぼしい食べものに満足して、お話しをすることは、たのしかったおもい出話や、遠くに行った鶴たちが幸福であればいいという話ばかりになりました。