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くろねことみ
黒猫十三
大倉 燁子
Read 黒猫十三 (くろねことみ) by 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 14,366 characters · 29 screens
薄暗い室内の壁には踊っているような影法師が映っていて、黒ずくめの装いで敏捷に跳ね廻る十三の姿は、まるで黒猫のような感じだった。本庄は好奇心の眼を輝かせて見惚れていた。
夜になった。宮岡警部はどうしたのだろう、二人を置去りにしたまま、まだ姿を見せなかった。
「きっと、いまに、自動車で迎えに来るんでしょう」
と云って、十三は別に気を揉む様子もなかった。
十一時近くなって、彼女の云った通り自動車が玄関に停った。
運転台の窓から、宮岡警部は首だけ出して差招いた。
彼女はミミーを小脇に抱えて、自動車の窓に飛びついた。
「遅かったのねえ。お兄さん」と甘たるい声を出して、
「昨夜、失敗したから、――今夜はミミーを伴れて行くのよ」と云いながら、黒猫の頭を叩いて、
「ミミーさえいりゃ、成功疑いなしだわ」
十三は両手でミミーの胴中を抱いて、高く差上げ、
「しっかり頼むよ。ミミー!」と頬ずりしながら云った、その眼は緊張して、鋭い光を帯びていた。
本庄は宮岡警部の前に進み出て、無言で丁寧に頭を下げた。
「や、遅くなって。――」と云い、十三の方へ向いて、眉を寄せ、
「出掛けようとする処へ、生憎、捕物があってね。