Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あすなろう
あすなろう
山本 周五郎
Read あすなろう by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 19,925 characters · 41 screens
ようなところへ放って置きゃあしねえぜ」
「それが金を扱うしょうばいなんだ、質と両替を兼ねているんでね、五百両ぐれえの金なら、いつでも手の届くところにあるんだ」
「質と両替だって」
「金杉本町じゃあ一番の店構えだ」
文次がなにか云おうとしたとき、向うで一人で飲んでいた百姓ふうの男が、こっちへやって来て政に呼びかけた。
「いい景気らしいな政」とその男は云った、「なんでそんなに儲けた」
「和泉屋の親分ですか、ちっとも気がつかなかった」と政はきげんを取るように云った、「お掛けんなりませんか」
「願いさげだな」男は眼の隅で、文次をぬすみ見ながら、云った、「おめえの酒は女っ臭え、しゃれて云えば女の涙で塩っ辛えからな、――伴れがあるようだが友達か」
「ええ、指物職でね」
「名めえは文次だ」と文次が云った、「住居は京橋白魚河岸の吉造店で、年は二十九、ほかに訊くことがあったら云ってくれ、答えられることならなんでも答えるぜ」
「そうむきになるなよ、親方」と男は皮肉に云った、「怒るとせっかくの酒がまずくなるぜ」
「あにい」と政は文次に一種の手まねをし、頭をさげながら云った、「たのむよ」