Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Read あらくれ by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,451 characters · 236 screens
に就いていた。
彼らが食事をするあいだ、裏でお島の洗い灑ぎをしたものが、もう二階の物干で幾枚となく、高く昇った日に干されてあった。
「どうも済みませんね」
ばけつをがらがらいわせて、働いているお島の姿を見ると、それでも女は、懈そうな声をかけて、日のじりじり照はじめて来た窓の外を眺めていた。毛並のいい頭髪を銀杏返しに結って、中形のくしゃくしゃになった寝衣に、紅い仕扱を締めた姿が、細そりしていた。白粉の斑にこびりついたような額のあたりが、屋根から照返して来る日光に汚らしく見えた。
「どういたしまして」
お島は無造作に懸つらねた干物の間を潜りぬけながら、袂で汗ばんだ顔を拭いていた。
「私は働かないではいられない性分ですからね。だから、どんなに働いたって何ともありませんよ」
「そう」
女はまだうっとりした夢にでも浸っているような、どこか暗い目色をしながら呟いた。
「私の寝るのは、大抵十二時か一時ですよ」
「そうですかね」お島は白々しいような返辞をして、「でも可いじゃありませんか。お秀さんは好い身分だって、衆がそう言っていますよ」
女は紅くなって、厭な顔をした。
「そうそう、お秀さんといっちゃ悪かったっけね。