Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Read あらくれ by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,451 characters · 236 screens

Aozora Bunko

暫くすると、白粉をこてこて塗って、湯から帰って来たお秀が、腕を組んで、ぼんやり店頭に彳んでいるお島に笑顔を見せて、奥へ通って行った。

「ぽんつくだな」お島はそう思いながら、女の顔を見返しもせずに黙っていた。何のことをも感づくことができずに、全く満足し切っているように鈍い、その癖どこかおどおどしている女の様子に、妄に気がいらいらして、顔の筋肉一つすら素直に働かないのであった。

「小野田が帰ったら、今の始末を残らず吩咐けよう。そして今からでも二人でここを出てやろう」

お島はそう思いながら、そこに立ったまま彼の帰りを待っていた。外は秋らしい冷かな風が吹いて、往来を通る人の姿や、店屋々々の明が、厭に滅入って寂しく見えた。浜屋や鶴さんのことが、物悲しげに想い出されたりした。

その晩、小野田は二階でしばらく川西と何やら言合っていたが、やがて落着のない顔をして降りて来ると、店にいるお島の傍へ寄って来た。

「店が閑でとても置ききれないから、気の毒だけれど、己たちに今から出てくれというんだがね」

小野田は言出した。

「ふむ」お島はまだ神経が突っ張っていて、こまこました話をする気にはなれなかった。