Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あるかんぬしのはなし
ある神主の話
田中 貢太郎
Read ある神主の話 (あるかんぬしのはなし) by 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 5,116 characters · 10 screens
勘作はその詞に従って石磴をおりて往った。そして、土手を内へ入って人家のある方へ歩いていると、果して牛を牽いた老人がやって来た。
「もし、もし、私は、今、水神様のお告げを受けたから、村へ知らしに往っております、今晩は大水が出るから、河原へ乾してある稲を執りこまないと流れると云うことです」
老人は半信半疑の顔をした。
「この天気続きに、おかしいなあ、しかし、神様のお告げと云うことなら、村の衆へ知らすことは知らしてやろう」
老人は牛を牽いて帰って往った。勘作はそのまま社へ帰って、堂の上へあがってみると酒や飯が三宝に盛ってあった。
「勘作、腹が空いたら、それを喫うがいい」
勘作はその酒を喫み、飯を喫った。水の男は姿を見せなかったが、傍で勘作の対手になった。
その夜大水があった。水神のお告げを信じて稲を執り入れた者は無事であったが、それを疑ってそのままにしてあった者は皆流してしまった。
村の人びとは、翌日水神の告げを知らして来た旅の男を水神の社の内に見つけて、それを神主として置くことになり、社の傍にその住居をかまえた。