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いとこどうし
いとこ同志
宮本 百合子
Read いとこ同志 (いとこどうし) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 7,760 characters · 16 screens
広い学校の裏はずうっと小高い丘に成っていて、丘の上にはいつでも青々とした樫の古木が、一ぱいに茂っていました。
お天気の好い日には、其の沢山の葉が、みな日光にキラキラと輝き、下萌えの草は風に戦ぎ、何処か見えない枝の蔭で囀る小鳥の声が、チイチクチクチクと、楽しそうに合唱します。真個に輝く太陽や、樹や小鳥は、美しゅうございます。
政子さんも、それらの平和な者達に取りかこまれながら、晴々と高い空の下に坐っているのが大好きでした。
おきまりの場所になっている芝生の上に坐って、ぼんやりと、空に浮んだり消えたりする白い雲を眺めていた政子さんは、暫くすると誰かに肩を叩かれて、喫驚しながら振返ると、其処には思い掛けず、友子さんが立っています。
「まあ友子さん」
「あなた、随分此処は暖いのね……だけれど貴女お一人? 芳子さんはどうなすったの」
「芳子さん? あっちだわ」
「何故貴女一人放って行らしったんでしょう、……私あの方は……此は貴女だけに云うのよ政子さん……余り親切じゃあないと思うことよ、私嫌だわ」
政子さんは、少し驚いて友子さんの顔を眺めました。
その頃大変流行った、前髪を切下げた束髪にして、真赤な珊瑚の大きな簪を差した友子さんは、紅をつけた唇を曲げながら、