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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Read ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 164,113 characters · 332 screens
全くそれぐらい取らなければ引き合いますまいて」
「そんなものを食ったら口が曲りますぜ」
「一桶二十五尾で一荷五十尾一日五荷は運べると言っていましたよ。五荷というと五々二百五十尾、大変な儲けですな。しかし二人がかりだし、死ぬのも余程あるだろうし、汽車賃も往復五回で……」
と甲は頻りに指を折って首を傾げた。
「何程儲かるにしても唯成金共の用足しを勤めるだけのことで決して正業じゃありませんな」
と乙は余り感心しなかった。
「私もその折然う思いましたよ。二時間も三時間も立ち続けてあの重い桶を揺っているのは大抵の仕事じゃありません。これが病人に薬を持って行くとでもいうのなら兎に角、全く金持の口腹の慾を満たす為めだと考えたら私も何だか不愉快の心持になりました。あゝいう風に徒労に骨を折る商売が多いから社会は案外進歩しないですな」
と甲が慨歎すると、乙は、
「御説の通りです。日本人は少くとも三分の一は大骨を折って徒労をしています」
と立ち上って僕達の方へ歩み寄った。多分お父さんの反省を促すのだろうと思ったら、煙草の吸殻を棄てに来たのだった。
「しかし此処の鮎は実際好いですよ。