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こどもふどき
こども風土記・母の手毬歌
柳田 国男
Read こども風土記・母の手毬歌 (こどもふどき) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 142,761 characters · 278 screens
大工を番匠というのは徴用工という意味であった。壁をぬる人をシャカン(左官)というのは、その補佐役ということであった。それで地方によっては屋根葺きのことを、左官と呼ぶところもあるわけである。その番匠と左官とが、たくさんの弟子を取り、大きな工事ならば皆出てはたらき、ご用がすんでしまって手があまると、それぞれ縁故のある土地にかえって、おいおいにふつうの人の家も造ることになったのだが、それでも飛騨の白川のような辺鄙な土地では、たった一人の大工がきて棟上げまですむと、あとは村の人にまかせてかえったそうである。土佐の山村でも、隅葺きさんというただ一人の屋根葺き職を頼み、隅のむつかしい仕事だけを引受けてもらうことにしていた。だから土地土地の昔からの葺き方などが、しだいに改良せられつつも、なお久しく残り伝わることができたのである。
専門の職人には職人気質といって、なるたけ手の込んだ見ごとなものを作りたいという念がつよい。それからまた腕に自信があるので、土地の者の経験をかるく見ようとするかたむきもあった。そうして思わぬ失敗をした場合もないとはいわれぬのである。そのおかしい一つの例をあげるならば、萱葺き藁葺きの家には、もとは板天井というものがなかった。