Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
このにぎりめし
この握りめし
岸田 国士
Read この握りめし (このにぎりめし) by 岸田 国士 (きしだくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,649 characters · 27 screens
「うむ、まあ、しかたがないさ。おれの絵はおれの絵の好きな奴に買つてもらいたいんだが、そうばかりもいかんよ。まあ、一杯行こう。ところで、君は、いつたい、いくつ? 僕の兄きか、弟か?」
「二十七です。多分、弟でしよう」
「いけねえ、同い年だ。じや、お前、おれで、これから話そう。岡本さんなんて呼ぶなよ。岡本でいゝ。こつちも、なんだつけ?」
「増田です」
「です、は、いかんよ。おい、増田、お巡りなんぞになりやがつて、いつたいどういう量見だ。まず、それを言え」
相手は一杯機嫌で、そんなことはなんでもなさそうだが、こつちは、いきなり、おいそれとその調子に成りかねた。それでも、ぼつぼつ、酔うに従つてというよりも、酔つたふりをして敬語をはぶくことにし、
「そんな、無理言つても困るよ。職業を撰ぶ自由は誰にでもあるからな」
「当りめえよ。だからさ、どんな量見でお巡りなんぞになつたんだ、と訊いてるんだ」
「そんなら、そつちも、どんな量見で、絵かきになんぞになつたんだ?」
「とぼけるねえ。絵かきになるのが、どこがわるい?」
「お巡りになつたのが、わるいというのか、やいこら」
「よくもあるめえ、糞面白くもねえ、罪人をふん縛る商売なんぞ、人に任せとけ」