Japanese reading practice

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Read さぶ by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 210,521 characters · 415 screens

Aozora Bunko

加役人足寄場絵図

「おい」と隣に坐っていた金太という若者が肱で小突いた、「立つんだよ」

同心の話は終り、荒蓆の上に坐っていた五人は立って、草履をはいた。

かれらの左右にいた下役同心四人が、こっちへ来いと云って、広い中庭のほうへ導き、そこに待っていた他の下役同心たちを紹介した。それらは手業掛り、牡蠣灰掛り、畑掛り、油絞り掛り、舂場掛り、見張番所掛り、そのほか寄場差配、医者、教師などもいるそうだが、これらはのちにひきあわせるということであった。紹介が済むと、五十ばかりになる男が前へ出て来た。雄牛のような躯つきで、肩には肉が瘤のようにもりあがってい、汐風や陽やけのためではなく、生れつきらしい赤黒い顔に、眼と口とがばかげて大きく、そして鋸の目をたてるときのような、耳ざわりな声をしていた。

「おれは寄場差配の松田権蔵という者だ」とその男は喚くように云った、「ここにいる人足どもは、陰でおれのことを赤鬼と呼んでいる、おれはそんなことはくそとも思わねえ、きさまたちもそう呼びたけりゃあ呼ぶがいい、おれはそんなこって怒りゃあしねえから、だがよく覚えておけ、いまあっちできさまたちに話をされたのは、役所詰元締役の同心で岡安喜兵衛と仰しゃる方だが、あの話をまに受けて、ここが極楽だなどと思ったら大間違えのすっとこどっこいだ、佐渡ヶ島の