Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ちいさこべ
ちいさこべ
山本 周五郎
Read ちいさこべ by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 33,480 characters · 67 screens
――しかし左官、屋根屋、建具屋などは、大きな火事のあとは仕事が多いから、銀でたたかなければなかなか思うように動かない。川越の仕事ではいったものや、請負った普請の手付なども、たちまち底をつくことはわかっていた。
「どうします」と帳場の助二郎が二度ばかり訊いた、「いまのうちに手を打っておきたいんですが、高輪へ伺っちゃあいけませんか」
「高輪もあべ川町もだめだ」と茂次は首を振った、「おれがなんとかするからいい」
大六がそばにいて訊いた、「なんとかするってどうするんです」
「見ていりゃあわかる、おめえたちに迷惑はかけねえ」
或る日、その高輪の伊吉が、あべ川町の兼六とそろって来た。夕飯にかかるまえで、茂次が湯から帰ってみると、大六と助二郎が二人の相手をしていた。茂次は二人に挨拶をしながら、立とうとする大六と助二郎に「おまえたちもいてくれ」と云い、二人はまた坐った。
「年役だからあっしが話そう」と高輪の伊吉が口を切った、「仕事のこともあるが、それはあとにして、まず亡くなった人の葬式について相談なんだが」
「そいつは川越で云った筈です」と茂次は遮った、「私は諄いことは嫌いだが、もういちど云います、葬式は当分だしませんし、どうか私のことはうっちゃっといて下さい」