Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
Read ちゃん by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 22,377 characters · 45 screens
からひまをとり、片方は京橋の金六町、片方は檜物町に、自分たちの店を持った。
二人は五桐火鉢にみきりをつけたのだ。先代までは珍重されたが、時勢が変るにつれて評判も落ち、注文がぐんぐん減りだした。五桐の品を模した安物がふえたし、世間の好みも違ってきたのであろう。手間賃を割って値をおとしても、売れる数は少なくなるばかりであった。――
これでは店がもちきれないので、五桐でもやむなく新しい火鉢に切替えたが、名目だけは残したいので、重吉が一人だけ、元どおりの火鉢を作っていた。新助はそのことを云いだしたのだ。もう三十五にもなり、子供が四人もあり、職人として誰にも負けない腕をもっているのに、長屋住いで、僅かな手間賃を稼ぎにかよっている。もうそろそろ自分の身のことを考えてもいいころではないか、と新助は云った。
重吉は飲みながら聞いていた。なにも云わないが、飲みかたが少しずつ早くなり、お蝶か新助が酌をしないと、手酌で飲んだ。
「心配してくれるのはありがてえが」と重吉はやがて云った、「おれにはいまの仕事のほかに、これといってできることはなさそうだ」
「それで檜物町と相談したんだ」