Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たにしのしゅっせ
むかし むかし あるところに
楠山 正雄
Read むかし むかし あるところに (たにしのしゅっせ) by 楠山 正雄 (くすやままさお) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 13,919 characters · 29 screens
「そらこそ水神さまのごりやくだぞ。さあ、早く神だなにお燈明を上げないか」
こういってさわいでいるうちに、おぎゃあともいわずに赤ちゃんが、それこそころりと、往来さきに、まるい石ころがころげ出すようにして生まれました。
まったくの話、この子は、石ころのようにちいさく、まるっこいので、つぶ、つぶとよばれている、たにしの子であったのです。
「つぶの子でもと申しあげたら、ほんとうに水神さまがたにしの子をくださった」
夫婦はこういって、でも、水神さまのお申し子だからというので、ちいさなたにしの子をおわんに入れて、水を入れて、そのなかでだいじにそだてました。
五年たっても、十年たっても、つぶの子はやはりつぶの子で、いつまでもちいさくころころしていて、ちっとも大きくはなりませんでした。毎日、毎日、たべるだけたべてあとは一日ねてくらして、ああとも、かあとも、声ひとつ立てません。
お百姓のおとうさんは、やはりいつまでも貧乏で、あいかわらず長者の田をたがやして、年じゅう休みなしに、かせいでいました。
「やれやれ、きょうも腰がいたいぞ」
と、ある日、おとうさんは背中をたたきながら、地主の長者屋敷へ納める小作米の俵を、せっせとくらにつけていました。