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ろうそくとかいがら
ろうそくと貝がら
小川 未明
Read ろうそくと貝がら (ろうそくとかいがら) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 2,502 characters · 5 screens
」と、その男はいいました。
娘と母親は、なおいろいろと、その男に父親の身の上を聞こうと思いましたが、
「今夜は、もう遅いから、いずれまたお伺いいたします。」と、男はいって、袋に包んだものを差し出して、
「これは、ほんの土産です。私が帰った後でごらんください。」と、娘にその袋を渡して、男はこの家を出て、どこへか闇の中に消えてしまいました。
男が去った後で、娘は袋を開けてみますと、その中には、無数の金銀の粉が入っていて、目もくらむばかりでありました。二人は、いったいこれはなんだろうと不思議がりましたが、夜が明けたらよく見ようといって、床に就きました。
明くる日、二人はその袋を開けて子細に見ますと、金でも銀でもなければ、よごれた貝がらでありました。
「あれはきっと、きつねかなにかの化け物だ。こんな貝がらなどを持って、おまえをだましにきたのだ。こんなものは捨てておしまい。」と、母親はいって、袋の中の貝がらを、すっかり窓の外に投げ捨ててしまいました。娘は、二、三日たって窓の外を見ますと、捨てた貝がらが、すっかり、美しいかわいらしい黄色な花になっていました。
その日から娘は、朝晩唄をうたいながら、その花を摘んで遊びました。