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いーはとーぼのうがっこうのはる
イーハトーボ農学校の春
Read イーハトーボ農学校の春 (いーはとーぼのうがっこうのはる) by Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 57,726 characters · 120 screens
」誰かが叫びました。
達二はすっかり太い白いたすきを掛けてしまって、地面をどんどん踏みました。楢夫さんが空に向って叫んだのでした。
「ダー、ダー、ダー、ダー、ダースコダーダー。」それから、大人が太鼓を撃ちました。
達二は刀を抜いてはね上りました。
「ダー、ダー、ダー、ダー。ダー、スコ、ダーダー。」
「危なぃ。誰だ、刀抜いだのは。まだ町さも来なぃに早ぁじゃ。」怪物の青仮面をかぶった清介が威張って叫んでいます。赤い提灯が沢山点され、達二の兄さんが提灯を持って来て達二と並んで歩きました。兄さんの足が、寒天のようで、夢のような色で、無暗に長いのでした。
「ダー、ダー、ダー、ダー。ダー、スコ、ダーダー。」
町はずれの町長のうちでは、まだ門火を燃していませんでした。その水松樹の垣に囲まれた、暗い庭さきにみんな這入って行きました。
そして達二はまたうとうとしました。そこで霧が生温い湯のようになったのです。可愛らしい女の子が達二を呼びました。
「おいでなさい。いいものをあげましょう。そら。干した苹果ですよ。」
「ありがど、あなたはどなた。」
「わたし誰でもないわ。一緒に向うへ行って遊びましょう。