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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Read パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 78,920 characters · 153 screens
「これは、ひょっとしたら、私の恥しい思い違いではないかしら」と考えると、あの様なはしたないそぶりを見せたことが、夫に対して申訳ない様にも思われて来るのです。
併し、又一方では、蘇生以来、夫の気質の激変、沖の島のえたいの知れぬ大工事、彼女に対する不思議な隔意、そして、あののっぴきならぬ確かな証拠と並べ立てて考えますと、やっぱりどこやら疑わしく、これは、一人でくよくよしていないで、一そのこと誰かにすっかり打開けて、相談して見た方がよくはないかしら、などとも思われるのでありました。
廣介は、あの夜以来、心配の余り、病気と称して邸に引籠ったまま、島の工事場へも行かず、それとなく、千代子の一挙一動を監視して、彼女の心の動きをば、大体見てとることが出来ました。そして、この調子なればと一安心はしたものの、併し、そののちというものは、彼の身の廻りのこと一切を、小間使にまかせて、彼女は一度も彼の側によろうとせず、ろくろく口も利かない有様を見ますと、やっぱり油断がならず、どうかした調子で、あの秘密が外部に洩れたなら、いやいや、仮令外部には洩れずとも、そういう間にも、邸内の召使などに知れ渡っているかも知れたものではない、と思うと、愈々気が気でなく、四日の間躊躇に躊躇を重ねた上、彼は遂に、彼女を殺害することに心を極めたのであり