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ヒウザンかいとパンのかい
ヒウザン会とパンの会
高村 光太郎
Read ヒウザン会とパンの会 (ヒウザンかいとパンのかい) by 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,232 characters · 9 screens
があって人気を独占していた。ライオンではカウンター台の上に土で作ったライオンの首が飾ってあって、何ガロンかビールの樽が空くと、その度毎にライオンが「ウオ ウオ」と凄じい呻り声を発する仕掛であった。
「カフエにて」と題する当時の短い詩に、
泥でこさへたライオンが
お礼申すとほえてゐる
肉でこさへたたましひが
人こひしいと飲んでゐる
○
無理は天下の醜悪だ
人間仲間の悪癖だ
酔つぱらつた課長殿よ
さめてもその自由を失ふな
というのがある。
永代橋の「都川」で例会があった時、倉田白羊が酔っぱらって大虎になり、橋の鉄骨の一番高いところへ攀じ登ったが川風で酔いが醒めて、さてこんどは降りられない。野次馬がたかって大騒ぎになったことがあった。白羊の眼が悪くなったのは、たぶんこんな深酒が祟っているのだろう。
○
「パン」の会の流れから、ある晩吉原へしけ込んだことがある。素見して河内楼までゆくと、お職の三番目あたりに迚も素晴らしいのが元禄髷に結っていた。元禄髷というのは一種いうべからざる懐古的情趣があって、いわば一目惚れというやつでしょう。参ったから、懐ろからスケッチ ブックを取り出して素描して帰ったのだが、翌朝考えてもその面影が忘れられないというわけ。