Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Read ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) by 梅崎 春生 (うめざきはるお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,411 characters · 263 screens
つまり水族館のガラス越しみたいなものですな。
しかし世間では、ぼくのような生き方を、どうもまともなものとして受取って呉れないようです。かげでは変人呼ばわりをしている向きもあるらしい。ぼく自身は、ぼくが一番まっとうだと思っているんですがねえ。それが陽の形や陰の形であらわれて来ます。陽の場合は、
「独りでは不自由でしょうねえ」
とか、あるいはもっと、
「自炊もたいへんでしょうから」
と、菜っ葉や肉を押しつけがましくおまけして呉れたりする。ぼくは別段おまけは欲しくはないが、呉れるものを拒否するほどの気持もない。にこにこしながら、受取ってしまう。おそらくぼくは彼等にとって、水族館の魚じゃなく、魚籠の中の魚みたいに見えるのじゃないでしょうか。眺めるだけにあき足りず、つついて見たり、ちょっと鰓をあけて見たり、どうもそんな風なのです。先ずはオセッカイと言うべきでしょう。受けている当人がそう思うのですから、これは間違いはありません。好意か親切か余計なオセッカイか、それは発する者が決めるんじゃなく、受取る方で決めるものだからです。
「そろそろ身を固めたらどうなの。あんた」