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いちしょうにんとして
一商人として
相馬 愛蔵
Read 一商人として (いちしょうにんとして) by 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,895 characters · 222 screens
例えば諸子が独立するとして、まず商売の発展しそうな場所を探し、そこに適当な借家をみつけて借り受ける。そうして月々家賃を払い店を経営して行くのであるが、借家によらないで最初から自分の家を持ち、いわゆる家賃というものを払わないで済む場合もあるであろう。しかしその場合も家賃を払わない代り、家屋の建築費およびその利子、地代、諸税、保険料を合算するとほぼ家賃と同額になる。いずれにしても家賃だけのものは要るのであるから、私は借家であると持家であるとによらず、商店経営の中のかなり重要な部分を占めるこの費目を等しく家賃として計上することにしている。
売上げの金高に比較して家賃が高いと商売がやりにくい。実際家賃は商品の売価にそれがかかって行くので、いかに勉強したくても高い家賃を払って安く売ることが出来ない。『あの店のものは高い』と言われるのはそこで、客足少なくついに店は維持出来なくなる。表通りの堂々たる店に案外客が少なく、裏通りや狭い路地に意外に繁昌する店があるのは、みなこの家賃の多少に原因するのである。
それゆえ商売をするには売上げに対して比較的家賃の安いことが大切で、家賃が安ければ安いだけ経営が楽なわけであるが、なかなかそう好都合にはいかない。