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まんようしゅうか

万葉秀歌

斎藤 茂吉

Read 万葉秀歌 (まんようしゅうか) by 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 213,820 characters · 427 screens

Aozora Bunko

(同・二九九六)、「伊香保ろの傍の榛原ねもころに奥をな兼ねそまさかし善かば」(巻十四・三四一〇)、「さ百合花後も逢はむと思へこそ今のまさかも愛しみすれ」(巻十八・四〇八八)等の例がある。一首の意は、自分の恋は、いま現にこんなにも深く強い。多胡の入野のように(序詞)奥の奥まで相かわらずいつまでも深くて強い、というのである。「まさかも」、それから、「おくも」と続いており、「かなし」を繰返しているが、このカナシという音は何ともいえぬ響を伝えている。民謡的に誰がうたってもいい。多胡郡に働く人々の口から口へと伝わったものと見えるが、甘美でもあり切実の悲哀もあり、不思議にも身に沁みるいい歌である。この歌は男の歌か女の歌か、略解も古義も女の歌として居り、「夫の旅別の其際もかなし、別て末に思はむも悲しといふ也」(略解)とあるが、却って男の歌として解し易いようでもある。併しこういうのになると、男でも女でも、その境界を超えたひびきがあり、無論作者がどういう者だろうかなどという個人を絶してしまっている。

○

上毛野安蘇の真麻むら掻き抱き寝れど飽かぬを何どか吾がせむ 〔巻十四・三四〇四〕 東歌