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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
Read 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,603 characters · 66 screens
南部の山は、黄金山
南部の河は、黄金河
と、小者は、口吟みつつ、歩いていた。
鮭の鱗は、金光り
家老の頭、銅光り
女房の肌は、銀光り
そのまた
やっこらせ
女房の肌を抱く時にゃあ
(肩?――頸?)
つつっと、小刻みに寄った右源太、足を構えて、踏止まると
「ええいっ」
大きく、踏出す右脚と共に、十分に延した刀、十分の気合。
「ああっ」
と、叫んで、挟箱を担いだまま、二間余り走ると、両脚を揃えて、木のように、倒れてしまった。右源太は刀を前へかくして、四方を眺めた。
(上首尾に行った)
心臓の烈しく打つのを押えながら、心の中で
(人の来ぬよう)
と、祈りながら、注意深く、小者の倒れている所へ近づいた。
十六
相馬大作は、いつもの通り、人を睨みつけるような、関良輔の眼を、じっと見つめながら
「津軽は、老中共に、袖の下をつかましているな」
「としか考えられませぬ。参覲交代の時に、届けもなく、道順を変更して、大砲の先を逃れましただけでも、咎めのあるべき筈のところ――」
「よし、津軽に対して、そういう偏頗の処置を取るなら、わしは江戸へもどって、相馬大作の名乗を上げてやろう」
「先生、それは――」