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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
Read 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,603 characters · 66 screens
大作は、眼を開いて微笑した。
「然し、短銃は、己を全うして、敵を討とうとする得物じゃ。凡そ、人を討つほどの者は、敵のみ討って、己を全うしようと考えてはいかん。己も死ぬ、その代りに、敵も斃す。この覚悟をせんといかん。十死一生、これが、剣道の奥儀じゃ」
「よく心得ております」
「場所は?」
「新らしい橋のあたり」
「よかろう」
「甘酒屋にでも姿を変えまして」
「それもよい」
「十分の距離にて狙撃すれば、逃がすことはあるまいと、心得ます」
「よし、わしは、見ていよう。二人の壮士が現れたことが、何ういう風に、この遊惰な世間へ響くか――やってみるがよい」
「それでは――先生、お名前を、相馬大作のお名前を使いますことを許して頂けますか」
「よいとも」
「有難う存じます」
「短銃?」
「買求めます」
「わしのを使うがいい」
「いえ――」
「精巧でないといかん。相馬大作が、武器も選ばず、旧式のを使っていたと噂されては、心外だ。二十間ほどの着弾距離があるが、十間なら、十分に、打抜けよう。江戸へ戻ってから手渡そう」
「万々、仕損じました節は、お名を汚しませぬ。また、首尾よく仕遂げましたなら、天下の白洲にて、いささか学びました、大義大道を説くことに致します」