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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
Read 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,603 characters · 66 screens
「貴下様が――へえ、そいつは、うっかり、踏込めませんぜ。宿で、泊めないなんてことが御座いますからの」
「何故」
「いえ、大作様を、生神様のように思っている奴がおりましてな」
「なるほど」
「それで、あんな唄まで、出来ましたが、旦那様、うっかりなさらんように――」
「忝ない」
侍は、腕組をした。
「何れ、もう、一風呂浴びてきて、寝ましょうかの」
一人が立上った。侍は、頷いただけであった。
三
「遅う御座いますな」
「遅い」
二人の潜んでいる草叢の草は、二人の頭を隠すくらいに茂っていた。そして、その上には陽の光さえ、洩らさないような梢と、葉とが、おおいかぶさっていたし、二人の周囲には、そうした大木が、一杯に並んでいた。
二人の横には、木の株を枕にして、大砲が置かれていた。筒口は、下を向いていて、その筒口の見当には、街道が、白く走っていた。
(この一発が、天下の眠りを醒ますのだ。ただ、南部の為に、津軽を討つというのではない。一つは、その為だが、二つには、領民のために、三つには、武士道のために――奢っている天下の人心を醒まして、ここに、真個の武士あることを知らせるのだ)