Japanese reading practice

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さんえもんのつみ

三右衛門の罪

芥川 竜之介

Read 三右衛門の罪 (さんえもんのつみ) by Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 7,132 characters · 15 screens

Aozora Bunko

富士司の御鷹匠は相本喜左衛門と云うものなりしが、其日は上様御自身に富士司を合さんとし給うに、雨上りの畦道のことなれば、思わず御足もとの狂いしとたん、御鷹はそれて空中に飛び揚り、丹頂も俄かに飛び去りぬ。この様を見たる喜左衛門は一時の怒に我を忘れ、この野郎、何をしやがったと罵りけるが、たちまち御前なりしに心づき、冷汗背を沾すと共に、蹲踞してお手打ちを待ち居りしに、上様には大きに笑わせられ、予の誤じゃ、ゆるせと御意あり。なお喜左衛門の忠直なるに感じ給い、御帰城の後は新地百石に御召し出しの上、組外れに御差加えに相成り、御鷹部屋御用掛に被成給いしとぞ。

「その後富士司の御鷹は柳瀬清八の掛りとなりしに、一時病み鳥となりしことあり。ある日上様清八を召され、富士司の病はと被仰し時、すでに快癒の後なりしかば、すきと全治、ただいまでは人をも把り兼ねませぬと申し上げし所、清八の利口をや憎ませ給いけん、夫は一段、さらば人を把らせて見よと御意あり。清八は爾来やむを得ず、己が息子清太郎の天額にたたき餌小ごめ餌などを載せ置き、朝夕富士司を合せければ、鷹も次第に人の天額へ舞い下る事を覚えこみぬ。