Japanese reading practice

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ふしぎなしま

不思議な島

芥川 竜之介

Read 不思議な島 (ふしぎなしま) by Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 6,348 characters · 13 screens

Aozora Bunko

僕「寒い色の野菜はどうなのです?」

老人「これも寒い色の野菜でなければ野菜ではないと云う連中がいます。もっともこの連中は冷笑はしても、演説などはしないようですがね、肚の中では負けず劣らず温い色の野菜を嫌っているようです。」

僕「するとつまり卑怯なのですか?」

老人「何、演説をしたがらないよりも演説をすることが出来ないのです。たいてい酒毒か黴毒かのために舌が腐っているようですからね。」

僕「ああ、あれがそうなのでしょう。シャツ一枚の豪傑の向うに細いズボンをはいた才子が一人、せっせと南瓜をもぎりながら、『へん、演説か』と云っていましたっけ。」

老人「まだ青い南瓜をでしょう。ああ云う色の寒いのをブルジョア野菜と云うのです。」

僕「すると結局どうなるのです? 野菜を作る連中によれば、……」

老人「野菜を作る連中によれば、自作の野菜に似たものはことごとく善い野菜ですが、自作の野菜に似ないものはことごとく悪い野菜なのです。これだけはとにかく確かですよ。」

僕「しかし大学もあるのでしょう? 大学の教授は野菜学の講義をしているそうですから、野菜の善悪を見分けるくらいは何でもないと思いますが、……」