Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

よのなかへでるこどもたち

世の中へ出る子供たち

小川 未明

Read 世の中へ出る子供たち (よのなかへでるこどもたち) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 3,905 characters · 8 screens

Aozora Bunko

」と、ある日、高橋は、正吉に向かって、いいました。

「しかし、お母さんは、お達者なのだろう。」

「ああ、病気ってしたことがないよ。それも、二人の子供を自分の手で養育しなければならぬので、気が張っているんだね。」

高橋は、そう答えました。正吉は、お母さんのことを考えると、すぐ、涙が目にあふれてくるのです。

「僕も、一度お母さんを、湯治にやってあげたいと、思っているうちになくなられて、もう永久に機会がなくなってしまった。」と、正吉は、歎息をもらしました。

「しかし、君には、まだ、お父さんがあるからいい。せいぜい孝行をしてあげたまえ。」

なくなった母親を思い出している、さびしそうなお友だちの顔を見ると、高橋は、こういってなぐさめたのです。

もう、季節は、秋の末でありました。正吉は、高橋を見送るため、門から出ました。短い日ざしは、色づいた木立や、屋根の上に、黄色く照り映えていました。

「高橋くんも、こちらに勤め口があるといいんだがな。」

正吉は、ただ、近く別れるのが悲しかったのでした。こちらに、思わしい就職口がないので、高橋が、地方へいくのを知っているからです。

「雪は、深く降らないけれど、僕のいくところは、冬の寒い田舎なんだよ。