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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Read 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 179,458 characters · 363 screens
顔良の輩が千年の後までも関羽に祟るなど、決して有り得べきことではない。これは祠に仕える巫女のやからが何かのことを言い触らし、愚民がそれを信ずる虚に乗じて、他の山妖水怪のたぐいが入り込んで、みだりに禍福をほしいままにするのであろう。
繍鸞
父の先妻の張夫人に繍鸞という侍女があった。
ある月夜に、夫人が堂の階段に立って繍鸞を呼ぶと、東西の廊下から同じ女が出て来た。顔かたちから着物は勿論、右の襟の角の反れているのから、左の袖を半分捲いているのまで、すべて寸分も違わないので、夫人はおどろいて殆んど仆れそうになった。やがて気を鎮めてよく視ると、繍鸞の姿はいつか一人になっていた。
「お前はどっちから来ました」
「西のお廊下から参りました」
「東の廊下から来た人を見ましたか」
「いいえ」
これは七月のことで、その十一月に夫人は世を去った。彼女の寿命がまさに尽きんとするので、妖怪が姿を現わすようになったのかとも思われる。
牛寃
姚安公が刑部に勤めている時、徳勝門外に七人組の強盗があって、その五人は逮捕されたが、王五と金大牙の二人はまだ縛に就かなかった。
王五は逃れて県にゆくと、路は狭く、溝は深く、わずかに一人が通られるだけの小さい橋が架けられていた。