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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Read 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 179,458 characters · 363 screens
風なまぐさく、浪もまたなまぐさく、腥気は人をおそうばかりであった。更に行くこと数里の後、※(「馮/几」、第4水準2-3-20)は土地の者に訊いた。
「あれはなんだ」
「馬絆です」
「馬絆とはなんだ」
土地の者は手をふって答えない。三更の後に次の駅にゆき着くと、駅の役人が迎いに出て来て、ひどく驚いたように言った。
「なんという大胆なことを……。夜中に馬絆の虞れあるところを越えておいでになるとは……」
「馬絆とはなんだ」と、※(「馮/几」、第4水準2-3-20)はまた訊いた。
「馬黄精のことでございます。これに逢う者はみな啖われてしまいます」
馬絆といい、馬黄精といい、いずれも蛟の種類であるらしい。(遂昌雑録)
廬山の蟒蛇
廬山のみなみ、懸崖千尺の下は大江に臨んでいる。その崖の半途に藤蔓のまとった古木があって、その上に四つの蜂の巣がある。その大きさは五石を盛る瓶の如くで、これに蔵する蜂蜜はさぞやと察せられたが、何分にも嶮峻の所にあるので、往来の者はむなしく睨んで行き過ぎるばかりであった。
そのうちに二人の樵夫が相談して、儲けは山分けという約束で、この蜂の巣を取ることになった。