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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Read 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 179,458 characters · 363 screens
美服美粧して渡るときは、たちまちに風波が起った。ただし醜い女は粧飾して渡っても、神が妬まないと見えて無事であった。そこで、この河を渡るとき、風波の難に逢わない者は醜婦であるということになるので、いかなる醜婦もわざと衣服や化粧を壊して渡るのもおかしい。
斉の人の諺に、こんなことがある。
「よい嫁を貰おうと思ったら、妬婦津の渡し場に立っていろ。渡る女のよいか醜いかは自然にわかる」
悪少年
元和の初年である。都の東市に李和子という悪少年があって、その父を努眼といった。和子は残忍の性質で、常に狗や猫を掻っさらって食い、市中の害をなす事が多かった。
彼が鷹を臂に据えて往来に立っていると、紫の服を着た男二人が声をかけた。
「あなたは李努眼の息子さんで、和子という人ではありませんか」
和子がそうだと答えて会釈すると、二人はまた言った。
「少し子細がありますから、人通りのない所で話しましょう」
五、六歩さきの物蔭へ連れ込んで、われわれは冥府の使いであるから一緒に来てくれと言ったが、和子はそれを信じなかった。
「おまえ達は人間ではないか。なんでおれを欺すのだ」
「いや、われわれは鬼である」