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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Read 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 179,458 characters · 363 screens
それと同時に、城は突然に陥没して一面の湖となった。
もう一つ、それと同じ話がある。秦の始皇の時、長水県に一種の童謡がはやった。
「御門に血を見りゃお城が沈む――」
誰が謡い出したともなしに、この唄がそれからそれへと拡がった。ある老女がそれを気に病んで毎日その城門を窺いに行くので、門を守っている将校が彼女をおどしてやろうと思って、ひそかに犬の血を城門に塗って置くと、老女はそれを見て、おどろいて遠く逃げ去った。
そのあとへ忽ちに大水が溢れ出て、城は水の底に沈んでしまった。
眉間尺
楚の干将莫邪は楚王の命をうけて剣を作ったが、三年かかって漸く出来たので、王はその遅延を怒って彼を殺そうとした。
莫邪の作った剣は雌雄一対であった。その出来たときに莫邪の妻は懐妊して臨月に近かったので、彼は妻に言い聞かせた。
「わたしの剣の出来あがるのが遅かったので、これを持参すれば王はきっとわたしを殺すに相違ない。おまえがもし男の子を生んだらば、その成長の後に南の山を見ろといえ。石の上に一本の松が生えていて、その石のうしろに一口の剣が秘めてある」
かれは雌剣一口だけを持って、楚王の宮へ出てゆくと、王は果たして怒った。