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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
Read 中谷宇吉郎集 第二巻 (『せっかずせつ』のけんきゅう) by 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 83,098 characters · 172 screens
しかし僕は人間がチョコレートを喰うと死ぬなんては言いませんから御安心なさい」とTさんもなかなか人の悪いことを言うものである。まあチョコレートは運の良い方で、白米は運が悪かったと諦めて貰うより仕方がない。
この頃兵隊さんたちの手記が時々新聞に出る。その中で、「真珠のように光る」日本米が配給された時の、兵隊さんたちの喜びが書いてあったのを読んで、ひどく心をうたれた。こうなると白米禁止など軽々しく言えることではない。もっともそれは白米に馴れていたからのことで、初めから全国民が胚芽米や半搗米になっておれば何でもないことだという議論も出るかも知れない。しかしこの問題はそう簡単には片づけたくないと私には思われる。I氏の論文の最後に独逸の例が引いてある。世界大戦当時、独逸軍が食料欠乏のどん底にありながらも、第一線から後方に交代してくる兵士たちに「カルペン」を一尾ずつ与えたという話なのである。そしてこれはこの一尾の鯉によって、蛋白何グラム、脂肪何グラム、カロリーいくらを給与しようと企図したのではないとつけ加えてある。こうなると、軍人は単純なところが美点であり、学者には深慮が取柄であるという従来の考え方が、どうもあべこべになりそうである。