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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 340,187 characters · 666 screens
「しかし――なんじゃ?」
「はい。しかし、諏訪栄三郎と申しますものが」
「うむ。存じておる。だが、諏訪氏は諏訪氏として」
「でも、栄三郎様もお艶ゆえに実家を勘当されている身でございますから、この際、離縁をとりますには、いくらかねえ……でないと、お話が届きますまいと存じますよ」
源十郎はぐっと反身になって、
「手切れ金か、いやもっとも。話は早いがいい。どのくらいで諏訪氏その離縁状を出すだろうの?」
「さようでございます。まとまったお金は五十両一度におもらい申したことがありますが、お兄上様とおもしろくなくなったのはそれからでございますから、今五十両渡しましたら、栄三郎様もお艶と手を切って……」
あのいつかの五十金、駒形の寺内でつづみの与吉を使って一時手に入れたのを、そばからすぐに泰軒に取り戻された金子のことを思いうかべて、源十郎は含み笑いを殺しながら、
「よし、わかった。そんならその金は拙者が引き受けて才覚いたす。それはよいが、掛け合いには誰が参る?」
「それはあの、だれかれと申さずに私が参りましょう」
「そうか、では、何分よろしく頼む」
と、源十郎が、ぴょこりと辞儀をしたその耳もとへ、おさよはすばやく口を持っていって、