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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 340,187 characters · 666 screens

Aozora Bunko

「しからば丹下殿、あとを――」

「心得申した、一時も早く!」

駕籠の内外、左膳と軍之助が言葉を投げあったかと思うと、四つの駕籠がツウと地をういて――。

二、三歩、足がそろいだすや、腰をすえて肩の振りも一様に、雨後のぬかるみに飛沫をあげて、たちまち道のはずれに見えずなった。

チラと見送って安心した左膳、皮肉な笑いを顔いっぱいにただよわせて、泰軒、栄三郎を顧みた。

「ながらく御厄介になり申したが、手前もこれにておいとまつかまつる。刀と娘御は、拙者が試合に勝って鉄斎どのより申し受けた品々……はッはッはは、ありがたく頂戴いたすとしよう」

栄三郎が、口をひらくさきに、泰軒が大笑した。

「まだその大言壮語にはちと早かろうぞ! 貴公の剣、それを正道に使うこころはないかな、惜しいものじゃテ」

「何をぬかしゃアがる! 正道もへったくれもあるもんか。おれアこれでも主君のために……」

「ウム! いいおったナ」

泰軒は一歩すすみ出た。

「主君のために! おお、そうであろう、いかにもそうであろう! 藩主相馬大膳亮どのの蒐刀のために――はははは、越前もそう申しておった……」

キラリ眼を光らせた左膳、