Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 340,187 characters · 666 screens
「評判の袈裟掛けの辻斬りか……うむ、もうよいから引き取りなさい。わしも寝所へ入るとしましょう」
と言ったが立ちあがりもしない。
府内を席捲しつつある袈裟掛けの闇斬り!
それよりも、なにか庭に、自分に見えない物が、主人の瞳にだけうつるらしいのが大作には気になったが、ほとんど命令するような忠相の口調におされて、平伏のままかれは座をさがったのだった。
用人の伊吹大作が唐紙に呑まれて、やがて跫音の遠ざかるのを待っていた忠相は、灯りを手に、つとたちあがって縁に出ると、庭のくらがりを眼探って忍びやかに呼びかけた。
「蒲生か――泰軒であろう、そこにいるのは」
と、沓脱ぎから三つ四つむこうの飛び石の上に、おなじく低い声があった。
「何やら役向きの話らしいから遠慮しておった。じゃまならこのまま帰る」
いい捨てて早くもきびすを返そうとするようすに、忠相はあわてて、
「遠慮は貴様の柄でないぞ、ははははは、なにじゃまなものか。ひさしぶりだ。よく来たな。さ、誰もおらん。まあ、こっちへあがれ」
満腹の友情にあふれる笑い口から誘われて、ぬっと手燭の光野へ踏みこんできた人影を見ると……つんつるてんのぼろ一枚に一升徳利。