Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
Read 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) by 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 38,489 characters · 77 screens
鹿子さん、たしか貴方の眼は、軽微な赤緑色盲に罹っているのですね」
「それを、よくマア御存知で……」
と思わず鹿子は、驚嘆の声を発して、法水の顔を呆れたように見入った。
しかし、法水は事務的に続ける。
「ところで、生理学の術語にフューゲル彩色表という言葉がありますが、彩色した表面に灰色の文字を書いて、その上を薄い布で覆うと、色盲には、その字が消えていて読めないのです。あの場合が恰度それに当て嵌っていました。つまり、一口でいうと、後方に起って硝子盤の中に入った光が、赤と緑の布を通過しているのですから、それを透した褐色の腹水は、鹿子さんの眼には灰色としか映えません。従って、なかにある、同じ色の膜嚢は消えてしまったのです。しかもそれが燐寸の火で見た瞬後なのですから、恰度膜嚢が、浮動するような錯覚を起したのですよ。皆さん、こうして私は、硝子盤の後方に、光るものを証明することが出来たのですが、さてその光源が何処にあったかというと、それは幾つかの硝子窓を隔てた、兼常博士の室だったのです」
そして、法水が飛去来器と紙製の球体を取り出したのを見ると、杏丸は顔を伏せ、焦だたし気に爪を噛み始めた。