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しつらくえんさつじんじけん
二十世紀鉄仮面
小栗 虫太郎
Read 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) by 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 38,489 characters · 77 screens
だから、もしもこれが真実なら、実に驚くべしといわざるを得んじゃないか」
そう云ってから杏丸に、
「所で、事件を発見した顛末を伺いましょう。院長と河竹医学士とどちらが先でしたか」
「院長の方です」
といって、杏丸は、見取図を認めた紙片を取り出し、法水に与えてから、
「院長は相当時期の進んだ結核患者なので、無風の夜には、窓を開放して眠る習慣になって居るのです。ですから、今朝の八時頃でしたか、開いている窓から、異様な姿体が容易く眼に入りました。所が、その旨を河竹へ報せに行くと、室の扉が、押せど叩けど開かないのです。でも一時間余り待ってはみたのですが、何時になっても出て来ないので、止むなくほかの男二人と力を併せて扉を叩き破りました。すると、河竹は背後から、心臓に短剣を刺し通されて、俯向け様に斃されているのです。で、二つの室の情況をいいますと、院長の室は、中庭側の窓が開放されているだけで、扉や他の窓は残らず鍵が掛かっていました。ところが、河竹の方はどうでしょう、全然密閉された室だったのですよ。それから、屍体検案の結果は、河竹はまず論なしとしても、院長の方は、詳細剖見を待つにしろ、まず急性の病死としか思われません。