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きょうとのあさいち

京都の朝市

柳 宗悦

Read 京都の朝市 (きょうとのあさいち) by 柳 宗悦 (やなぎむねよし) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 5,604 characters · 12 screens

Aozora Bunko

程なく水甕も求めたが、最初はどこの窯のものか見当もつかなかった。昭和の初め頃は陶磁史の専門家の知識も甚だ限られたもので、誰に聞いても知っている人がなかった。恐らく越中瀬戸だと説明されたくらいだ。

私が始めてこの大捏鉢を「大調和」誌上に紹介したのは昭和三年正月号であるが、その頃もまだ窯が見出されず、只九州の産という見当がほぼついたくらいである。民窯のこと故、誰にもよく知られていないのである。

昭和三年の中頃であったか、始めて筑後二川でこの種の鉢や甕が作られたことが分って来た。私はその報告を「工芸の道」の口絵解説に記した。之が縁となって、この種の焼物を皆世間では「二川」と呼ぶに至った。併し段々九州に於ける古窯跡の発掘が進むにつれ、二川より更に前に弓野あたりでも焼かれ、伝統を遡れば更に古く、何も二川のみでないことが分明になった。只二川がこの種の焼物を作った最後の窯場なのである。当時この捏鉢は、各家庭の必需品として、肥前一帯に随分方々で焼かれたものと思える。前述の庭木や、又小田志なども、広い意味で同じ流れの窯場と云えよう。

大体捏鉢には松絵が多いが、品物が集るにつれ、梅とか竹とか蘭とか岩山とか、色々の紋様が試みられたことが分った。