Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
きょうかのこむすめどうじょうじ
京鹿子娘道成寺
酒井 嘉七
Read 京鹿子娘道成寺 (きょうかのこむすめどうじょうじ) by 酒井 嘉七 (さかいかしち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 24,841 characters · 49 screens
私の弾く三味線は、あの人の人柄とは、何の関係もございません。岩井半四郎という、日本一の踊り手のために、心から弾くのでございますから、呼吸が合うのでございます。あの人に、あの芸がございませんでしたら、私はああした人は、人類の名誉のためにでも、あの親猿の前で、殺しているでございましょう」
師匠は、こんなことを申されまして、お笑いになったことでございました。
|○|
大切、娘道成寺の幕は、時間通りに開いたのでございます。舞台は申すまでもなく、所作事にはお定まりのこしらえ――檜の舞台に、書割は、見渡すかぎりの花の山、うっとりと花に曇った中空に、ゆったりと浮び上るように、連らなっている山の峰――二重、三重。舞台下手には、大きな桜の木、これの花にもなぞらえてあるのでございましょうか、舞台正面の天井からは枝垂れ桜の、花のすだれが、舞台上手から下手まで、ずっと春めかしく、舞台をはなやかに浮きたたせているのでございます。このたれ下った花すだれに、上三分はさえぎられて見えないのでございますが、あの、鐘にうらみがと唄いまする、張子の鐘がつり下げられているのでございます。