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じんぞうにんげんせんしゃのきみつ

人造人間戦車の機密

海野 十三

Read 人造人間戦車の機密 (じんぞうにんげんせんしゃのきみつ) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,501 characters · 19 screens

Aozora Bunko

3

醤主席は、今や極上々の大機嫌であった。

彼は、毎朝早く起きて、砂漠の下の防空壕を匐いだすと、そこに出迎えている常用戦車の中に乗り込み、文字どおり砂塵を蹴たてて西進し、重工業地帯へ出動するのであった。

そこでは、これまた、得意の絶頂にある油蹈天学士が待っていた。彼は、この重工業地帯長官ということになっていて、かの金博士の発明になる人造人間戦車の部分品の製造監督に、すこぶる多忙を極めていた。

「どうじゃな、油学士。どうも生産スピードが鈍いようじゃないか」

醤主席が到着すると、すぐいい出す言葉はこれであった。工場の中を見ないうちに、このおきまり文句をぶっぱなすところが、主席の得意な嚇かしの手だった。

「え、とんでもない。仕事は、たいへんに進捗して居ります。ちと、こっちを巡覧していただきましょう」

油学士は、猿が飴玉を口に入れたように頬をふくらませ、主席を案内していくところは、毎朝多少ちがっていたが、結局、主席が最後ににこにこ顔で腰を据えるところは、外ならぬ人造人間戦車の主要部分品であるところの人造人間が、山と積まれている倉庫の前であった。

(やあ、いつ見ても、ええものじゃのう)