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がんりゅうじま
仇討二十一話
直木 三十五
Read 仇討二十一話 (がんりゅうじま) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 16,854 characters · 35 screens
「やあ」
と小手へ入れてくる。真剣勝負の小手なんかは利目の薄い物だが、助勢で敵を計るときにはこの辺へ一寸(ちょっと)手を出してみる。払って、斬込む、退く。横から清十郎が討込もうとする隙に、九郎右衛門ぴたりと構を立直して、
「やあ」
と、喜遊次中々の腕前、半時間位経ったが勝負がつかぬ。朝とは云え五月末の太陽、八時になると相当に暑い、四人ながら汗に浸(し)んでいる。どーん、と太鼓の音、
「休憩」
と足軽が叫んで、四人の間へ六尺棒を入れる。十内思わず、汗を横なでして、
「有難う」
と礼を云う。足軽付添って右左へ別れて、控所へ、汗を拭い、水を飲んで、刀を試(しら)べる。
「もう一息という所で、踏込方が足りませぬな。四度目の斬込みなど確かに一本きまった所、ほんの一寸で外(そ)れましたが、踏込んで御覧なさい」
身分は低いが武芸自慢の足軽、中々批評を試みる。
「左様、つい気怯(きおく)れ申して見物が多いと固く取っていけませぬ」
「いや、見物があるので固くとらるる位なら見上げたもので御座る」
足軽大いに上げたり下げたりしている。
「如何、始めてよろしゅう御座るか」
と、小目付が聞きにくる。