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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Read 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 203,094 characters · 411 screens
きのう埋めたばかりの新仏の……。その新仏の墓をほりかえして……。もうそのあとは申上げられません。
(おいよはテーブルの上に泣き伏す。モウロと正吉は黙祷す。暫時の間。)
おいよ (息をついて。)何事も半分は夢のようで、自分でもはっきりと覚えてはいないのでござりますが……。兎も角もそれから家へ帰りまして、誰にも覚られずに済みました。
モウロ それから後にも、その狼の声が聞えるのですか。
おいよ 毎晩きこえます。その後は夜が更けると、必ずわたくしを呼ぶように聞えます。呼び出されてはならない、誘い出されてはならないと、一生懸命に耳を塞いだり、眼を瞑じたり、口のうちで観音さまや阿弥陀仏様を念じたりして、色々に防いでいたのでござりますが、三日目に一度、五日目に一度は、どうしても防ぎ切れなくなりまして、糸に引かれるようにうかうかと表へ出て、相変らず墓荒しを致して居りますうちに……。(次第に亢奮して。)盂蘭盆の月の明るい晩、三人づれの若い女が笑いながら来るのに出逢いました。それを見ると、わたくしは……。いきなりに飛びかかって……。
(おいよはいよいよ亢奮して又立ちあがり、傍に立っている正吉の腕をつかんで引寄せようとするを、モウロは立寄って引き分ける。